飛行機のリクライニングシート

飛行機のシートは倒しても大丈夫なのか。素朴な疑問だ。私はもともと「倒す派」だ。だから、前のシートが倒してきても何とも思わない。

しかし、世の中、私のように考える人ばかりではない。「飛行機のシートは倒してはいけない」と頑なまでも倒さない人もいる。

そういえば、国内線では倒している人は殆どいない。と考えると、私は間違っていたのかと自問自答した。倒して良いものか、悪いものか、いったいどっちなんだ。

以下、私の考えと、色々と調べた結果や今後の対応などについて記す。

そもそも航空会社はどう考えるか

航空会社に聞くと「倒しても構いませんよ。ただ、後ろのお客様には心配りをしてください。」といった返事しか返ってこない。

倒すにしても、「心配りをしてから倒すべきもの」らしいが、さてさて、この「心配り」とは何を指すのか。

恐らく、「ひと声かけて」とか、「食事時は倒さない」ということだろう。もしかしたら、心配りをして「極力倒さない方向で考えるべき」という事実上の「倒してはダメ宣言」も含まれるかも知れない。

と考えると、全くもって答えになっていない。果たして、倒して良いのか悪いのか。またまた分からなくなってしまった。

論理的にはどうなのか、それぞれの主張を見てみる

「倒す派」は次のように主張する

①飛行機のシートのリクライニングは機能として備わっているもので、もともと倒してはダメなら倒れないようにしているはずだ。だから倒しても構わないものだ。
②飛行機と言う狭い空間を有効利用するために、乗客はシートを倒す権利がある。
③倒してはいけないと考える人は、自分の前の空間は自分のものと考える自分勝手な人間だ。
④倒されていやなら、ビジネスクラスかファーストクラスに乗るべきだ。

これに対して「倒さない派」は次のように主張する

①倒せるから倒して良いとはならない。飛行機の機能とそれをどう使うかは別問題だ。
②飛行機という狭い空間は、例え倒せる機能であっても、お互い、倒さないという暗黙の了解があり、倒さないでお互いが気持ちよく乗れるようにすべき。乗客はシートを倒す権利などはない。
③倒す人は、後ろの人のことなど何も考えない自分勝手な人間だ。
④倒したいなら、ビジネスクラスかファーストクラスに乗るべきだ。

なお、これらは、倒す派であっても、「食事のときは倒さない」、倒さない派であっても「体調の悪いときは倒して構わない」との前提ではある。

「倒す派」「倒さない派」とも、考えが全く正反対なことが分かる。ただ、論理的にどちらが正しいかと言うジャッジは殆どできない。

ひと声かけてから「倒す」ことには反対

ここで、倒す派については、「倒す」にしてもひと声かけてから倒すべきと主張する者も含めることにする。

しかし、実は、私は「ひと声かけること」に反対する。寝てる場合もあるし、話しかけられることを嫌がる人もいる。

加えて、日本人相手ならこれが通用する可能性は高いが外国だと、全く、通用しない。

日本人は、こう、下手に出られるとOKを出す人が殆どで、了解を得れる前提で聞くことになる。しかし、外人は毅然とNOと言う場合も多い。YESを前提に聞いているのに、NOと言われたら、どうするか。「はい、分かりました」となる人なら良いが、YESを前提に聞くなら、単純にそうはならないだろう。

もめるか、しこりを残して我慢するかである。そうなるぐらいなら聞かない方が良い。事実、こうした経過で揉める例は多い。

「倒す派」「倒さない派」どちらが多いか

民主主義とは少数の意見を大事にするが、結果は多数意見にて決定するというものだ。多数意見の方を正しいとするのだ。

それでは、「倒す派」「倒さない派」どちらが多いのだろうか。ネット等を参考にすると、感覚的なものではあるが、「倒す派8割」「倒さない派2割」程度と思う。

これから行くと、「倒す派」が正しいように見えるが、物事はそんなに簡単ではない。

「倒す派」であっても実際には「後ろの人のことを思えば倒せない」とする考えの者が、「倒す派」の殆どを占めるということに注目しなければならない。国内線で殆ど倒す人がいないのはこのためだ。

つまり、本当は倒したいのだが、「後ろの人のことを思って、倒さない、我慢をする。」という構図だ。これを美徳と取るか、何とも堅苦しいと取るかは取り方次第である。

この人達は、結局は倒さないのだから、「倒さない派」に入るかも知れない。とすると、「倒す派2割」「倒さない派8割」と逆転する。

多数意見を正しいとしても、どちらが多数か捉え方で変わって来るので、ここでもジャッジはできない。

現実的な対応はどうすれば良いか

結局は「倒す派」「倒さない派」とも、どちらもが正しい。そもそも、どちらか一方が正しいとしても、現実には反対の考えもあるので、ジャッジ自体が意味をなさない。

ジャッジをして航空会社がコモンセンスを作ってくれれば良いがそうはならないということだ。

それでは、何が正解かと言えば、現実的な対応を取ることのみが正解となる。

つまり、「倒す派」は、後ろが「倒さない派」と仮定して対策を考えておくことであり、「倒さない派」は前が「倒す派」として対策を考えておくべきということだ。

もっと具体的に言うと、

「倒す派」

後ろは「倒さない派」である。「倒さない派」は前の席が倒れて来たら、どんな逆襲をするか分からない輩なのだ。

「つんつん」とついて来る程度であれば可愛いが、面と向かって「倒すな」と言って来るかも知れない。いわんや、トイレに立つ振りをして、やわらに髪を引っ張ってくるかも知れない。

「つんつん」とついて来た場合は無視をするか、その程度が頻繁であれば「何をしているのか」と問う。「倒すな」と言って来たら「倒して何が悪いのか」と主張する。やわらに髪を引っ張って来たら「何をするんだ」と怒る。

これらで揉めたら、すぐにキャビンアテンダントを呼ぶ。

 

「倒さない派」

前は「倒す派」である。いつ何時倒れて来るか分からない。
倒れてきたら、我慢をするか、もしくは、臨時的に自分も「倒す派」となり席を倒す。
それとも、次の行動を取る。

・「つんつん」とついて、相手に席を戻すことを促す。
・面と向かって「倒すな」と言う。
・トイレに立つ振りをして、やわらに髪を引っ張ってやる。

「倒す派」の私の考え

とここまでは、公平的に見てきたが、生粋の「倒す派」なので少々自己主張を。

国内線ならまだ良いが国際線で何時間も飛行機に乗ることを考えると、倒してはダメというのは酷なものだ。

倒さないという「暗黙の了解」は、何やら、とっても息苦しい「了解」だ。この暗黙の了解は「倒す」方になってもらいたい。

「お互い様」というなら、倒す方が良いだろう。倒し、倒されハッピーエンドというものだ。下手に気を遣う必要などはない。

勝手に倒されたら、腹が立つとか、俺の空間に勝手に入るな、というのは心の狭さに他ならない。

自分に取っての具体的な対応

先の「倒さない派」の逆襲は実際にあった話だ。何とも心が寒くなるようだが、このような逆襲は想定しておかなくてはならない。逆襲と言ったが、別にこちらから仕掛けたわけではない。正しくは逆切れだろう。そのうえで、実際には次のようにする。

・可能であれば飛行機のシートは最後列を取る。
・できるだけ、空いている飛行機に乗るため閑散期に旅行する。
・残念ながら後ろに乗客がいる場合は、当然のことながら食事のときには倒さない。
・倒す場合は、徐々に徐々に倒して相手に迷惑とならないようにする。
・でも、絶対に倒す。
・それで揉めたら、すぐにキャビンアテンダントを呼ぶ。

揉めたときのキャビンアテンダントの対応

ところで、揉めてキャビンアテンダントを呼んだらどうなるかだが、他に席が空いていれば席を移動するよう伝えられる。

席が空いていなかったら、後ろの人にキャビンアテンダントが了解を求めるようだ。この辺は、どちらが先かは分からないが。

その結果、了解が得られなかったら、どうなるか。

これは推測だが、ビジネスクラスは空いているだろうから、ビジネスクラスに移動させてもらえるのではないだろうか。

ビジネスクラスも空いていないし、後ろの人も了解しないなら、「倒す派」の理屈で強く説得するのではないだろうか。

それでもダメなら、強硬的にシートを倒して「終わり」なのだろうか?
まあ、ここまでに至る人はいないとは思うが。

まとめ

以上見てきたとおり、「絶対の正しさ」というものは存在しない。だからこそ、もう少し、航空会社のイニシアティブがあって然るべきと思っている。

何れにしても、飛行機のシートは倒したい。前の席が倒れて来ても私は全然かまわない。

後ろの人が逆切れしないように、角刈りにして常に筋トレに努めている、今日この頃である。