年金

年金額を増やす最大の効果的な方法は、年金の受給開始時期を遅らせて繰り下げ受給をすることだ。だが、やみくもに繰り下げれば良いというものではない。受給するまでの生活をどうするか、何歳ぐらいまで生きることができるか、そのときの増加する金額、途中で亡くなって損する金額等を総合的に考えていかなくてはならない。

当サイトは、そのためにできるだけ細かい数字を弾き出すことを念頭に置いて作成した。みなさんの、繰り下げ受給をするかどうかの判断材料の一助にしてもらえれば幸いだ。

年金繰り下げで元が取れるのは12年後だ

せっかく繰り下げ受給をしても早くに死んでしまったのでは意味がない。それでは、繰り下げ受給をした場合、何歳まで生きていることができれば元を取ることができるだろうか。

それは、何年繰り下げても受給開始後12年だ。12年以前に死んでしまっては、せっかくの繰り下げ受給が何の意味もなかったことになってしまう。元が取れる年齢の一覧は下図のとおりとなる。

繰下年数 受給開始年齢 元が取れる年齢
なし 65
1 66 78
2 67 79
3 68 80
4 69 81
5 70 82

 

年金を繰り下げると毎月いくら増えるのか

繰り下げないときの年金月額
(入力欄)
 
繰下年数 各月増加額 各月受給額 待機間の本来得るはずたった収入(失った収入)
なし 02
1 11 12 13
2 21 22 23
3 31 32 33
4 41 42 43
5 51 52 53

この表は、何年繰り下げると毎月いくら増えるかを「各月増加」欄に表示している。初期状態では70,000円が入力されている。繰り下げなければ毎月70,000円しかもらえないが、例えば、2年繰り下げると毎月11,760円が増えて、受給額は 81,760 円になると言うことだ。

ただ、受給額が増えても良いことばかりではない。2年間繰り下げると、当然、2年間年金はもらうことができない。お預けを喰らうことになるので、この間は本来もらえるべき年金が入らない。

更に、社会保険料が収入の増加に応じて増加する。今、「応じて」と言ったが、例えば介護保険料は段階的に上がるので「応じない」可能性もある。元の段階の範囲内なら上がらないし、もしかすると1円の差でワンランク上がるかも知れない。住んでいる市町村の介護保険料を確認してから年金をどう繰り下げれば良いか考えるべきだ。

それでは繰り下げによって、いったいいくら入らなくなるのかであるが「待機間の本来得る収入(失った収入)」欄になる。年金額がデフォルトの70,000円とすと2年間の繰り下げでは、1,680,000 円のお金がもらえなくなってしまうのだ。だから、同額が手元にあると繰り下げができると判断することもできる。

手に入らない年金は損をするように見えるが、安心して欲しい。上述のとおり、元を取るためには12年間かかるが、12年経てばこのもらえなくなった金額以上に毎月の年金額の累計が増えていることになる。すなわち、元を取ったことになる。

それでは実際にやってみよう。あなたが将来もらうであろう毎月の年金額を上のテキストボックスに入力してほしい。半角数字で入力してから、フォーカスを移す(このページのどこでも良いのでクリックする)と夫々の金額が表示される。

こうして入らない年金額を確認して、その間の収入を考え、繰り下げをするかどうかの判断材料とすることができるのだ。

何歳まで生きるといくら得(損)するのか

この年齢まで生きる
(昇天年齢、入力欄)
 
繰下年数 5歳で昇天総支給額 繰り下げ受給で得になる額
なし 06 0
1 16 17
2 26 27
3 36 37
4 46 47
5 56 57

この表では、上記で入力した収入額に基づき、一定の年数まで生きると仮定して繰り下げで得をするのか、損をするのか、その金額はいくらなのかを見ることができる。

同じように2年の繰り下げ例に見てみよう。年金額がデフォルトの70,000円とすると80歳まで生きると、67歳から80歳までの年金総額が12,754,560円で2年繰り下げを行ったことで154,560円多くもらえたこととなる。

ここでも、年齢を入力して、先に入力した年金月額に基づいた各繰り下げ年数に応じて総額いくらの年金支給となるか、繰り下げなかったときに比べていくら得(損)になっているのかを確認することができる。

あくまでも、ここの月額の基本は先の入力値に対してのものである。デフォルトは70,000円なので、月額年金は自分の予想額を入力しておいてほしい。

ここでは、仮に、〇年繰り下げて、〇歳で亡くなった場合の損得がいくらになるかが分かるので、自分の繰り下げ年数をシミュレートすることができる。例え、〇歳で亡くなったとしても、損する金額はこの程度なので「良し」とするかとか、ここまで生きればこんなにも得になるので、繰り下げは〇年に決めたなどと言ったように使うことができる。

先に話したとおり、受給開始後12年を経ないと元が取れないので、最長5年間、70歳で受給開始をすると82歳で初めて黒字となる。なので、81歳以下の年齢を入力すると、損をする年数があり、その場合は「繰り下げ受給で得になる額」は赤字で表示される。

なお、これらの表は1年刻みで5年間分だが、年金の繰り下げ受給は1年以上であれば1か月単位でできる。この表に出ていない分、例えば1年半の繰り下げをしたいときなどは、単純に比例配分して計算するだけで良い。

このサイトを作成した理由

これだけ細かな計算を考えたのは、実は、自分のためである。年金をもらう年齢に近づいたので、さて、繰り下げをどうするかということを自分の問題として向き合わなくてはならなくなったのだ。他人事ではないのだ。

自分の性格として、適当に済ますことはできないので、繰り下げる、繰り下げないにしても自分が納得した理由をきちんとしておきたかったのだ。

年金繰り下げの難しいところは、自分が何歳まで生きることができるのかが分からないことだ。自分の残り時間とを天秤にかけて繰り下げ時期を決めることになる。

なお、これらの表は繰り下げ受給に対応しているもので、繰り上げには対応していない。また、プログラムには万全を期したつもりではあるが、見えないバグ等の可能性は否定できないことから、あくまでも使用は自己責任で行ってほしい。紙とペン、電卓との併用が望ましい。