このブログで生活保護を受けなさいと言ったのだが、ブログで一般論を言うのは全然問題ないだろう。しかし、これを具体的な相手に言ってしまったらどうなるだろうか。
あなたが、言われたとしたらどう思うだろうか。
目次
生活保護を受けなさいと言っても良い場合とは
もしも相手と親しい間柄にあって、本当に生活保護を必要としている状況なら当然言うべきだ。言っても関係は壊れないし、親切と受け止めてくれるだろう。
親しくなくとも、生活保護を受けないと本当に死んでしまうという切羽詰った状況なら言うべきだ。黙っていたら死んでしまいかねない状況なら、黙っていること自体が未必の故意となるかも知れない。それでも受けようとしないなら、すぐにでも行政へ通報しなくてはならない。
これらの場合であっても、気を遣いながら言う必要はあると思う。
他方もしも生活保護というものを全く知らないなら、一般論として教えてあげた方が良い。たまに生活保護制度自体を知らないで制度を利用できなかったという人もいるのだから。
生活保護を受けなさいと言ってはダメな場合
これとは逆に、大して親しくもない人から、「あなたは生活保護を受けた方が良い」と言われたらどう思うだろうか。「貧乏人」とレッテルを貼られたようで頭にこないだろうか。いくら親切心からと分かっていてもバカにされたとは感じないだろうか。余計なお世話と思わないだろうか。
それも、本当に生活に困っているような状況ならいざ知らず、何とか生活できている状況で言われたなら尚更だ。
尤も、ごく短時間の話で互いに理解し合えるということはありうる。ケースバイケースとは思うが、安易に勧めることはできない。
生活保護を受けなさいと役所の窓口では言うべきか
例えば役所の場合はどうだろうか。役所の窓口でも同じことと思う。生活保護の相談窓口に来ているなら、生活保護の申請をためらっている者に対して担当者は困窮状態が認められるなら生活保護を勧めるべきだ。
しかし、生活保護の窓口以外ではどうだろうか。何らかの制度の窓口、住民票の窓口など色んな窓口が役所にはある。そうした生活保護以外の窓口で言われたら、心情穏やかではいられないのではないだろうか。言い方もあるかも知れないが、素直に「言ってくれてありがとう」とはならないだろう。
場合によっては「上から目線で」と感じて怒り心頭に発すとなってしまうのではないだろうか。
問題判決があった
こうした事情を知らない裁判官の判決があったので紹介したい。
国民健康保険では申請で自己負担分が減免となる制度がある。この申請をした者が市の内規の申請期限超過に該当するために減免を受けれなかったことに対する高裁判決で市の却下措置が違法と判断された。
この司法判断の是非は置いておくが、判決の中で裁判長は「減免制度は経済的困窮者に対する診療という社会保障の意義を持ち、申請者の個別事情を総合的に判断すべきだ」と指摘した。この指摘は正しいと思う。
個別事情をきちんと把握して総合的に判断するべきだが、今回の判決では個別事情をきちんと把握して総合的に判断していないから市の却下を違法としたのだ。
なぜ、こう判断したかであるが、それは、市が申請者に生活保護の申請を勧めるなどの事情も認められないことから「社会通念に照らして著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を超えた違法な決定」としたのだ。
要は、市が生活保護の申請を勧めなかったから、きちんと個別事情を把握していないとしたのだ。論理が飛躍し過ぎてはいないのか。なぜ、生活保護の申請を勧めなかったことが個別事情を把握していないことになるのだ。
これは、新聞報道にしか過ぎないのでもしかすると報道で何らかの間違いがあるかも知れないが、生活保護を勧めるということは簡単なことではないことを知ってもらいたい。裁判官は生活保護を受ける立場になり得ないからこその傲慢さが見え隠れする。言われた者の気持ちを考えるべきだ。