生活保護を受けると婚活や恋愛もできないのだろうか

生活保護を受けているので婚活すらできないという書き込みが随分と波紋を広げている。
生活保護受給者「婚活できない」にネット民「(゚Д゚)ハァ?」爆発

生活保護を受けている身なのだから、婚活できるぐらいなら働けと言うもの。

言い分は良く分かるので何とも言えないところだが、固い話で恐縮だが、生活保護法ではどのように考えるかを見てみた。

生活保護受給者でも婚活や恋愛は自由のはずだ

生活保護を受けると婚活や恋愛ができなくなるということは当然「ない」。婚活や恋愛は自由だし、第一、制限をすると人権問題だろう。芸能界なら恋愛禁止という話はコンセンサスを得ることはできるだろうが、生活保護を受けたからと言って規制されるものではない。

なら、何でも良いのか、ということになる。

これは婚活や恋愛に限らずに生活保護を受けている者は、どのような生活をしなくてはならないかということに他ならない。

生活保護法上で規定している生活上の義務

一応、生活保護法ではこう言っている。

法第60条
被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出そのた生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図りその他生活の維持及び向上に努めなければならない。

働けるのに婚活や恋愛にうつつを抜かして働かなかった場合、毎日飲み歩く、パチンコばかりをする。出費が嵩むので食べるものも食べないでこれらに没頭する、そういった生活が本条に抵触するだろう。

しかし、例えば、体調が悪くて働けないが婚活や恋愛はできるという場合は理屈上ではOKとなる。この場合は、婚活や恋愛ができるなら相応の仕事はできるのではないかとは言いたくなるが医者が働けないという以上は仕方がない。

この条文はあくまでも生活上、こうあるべきだという一般論を言っているに過ぎないので、これらに該当したからと言ってすぐに保護が廃止になることはない。助言指導は受けることになっても、廃止の根拠にはならない。誰がどのような生活を送ろうが基本的には自由なのだ。

自由でない場合とは、働けるのにこのようなことに没頭して働かない場合のみだが、そのときは稼働に関しての指導指示となるだけだ。決して生活態度が悪いので廃止というものではない。稼働に関する指導指示義務違反になればそれは当然、生活保護の廃止もありうる。

小人閑居して・・・

働かないで良い生活保護受給者は沢山いる。病気で働けない人達だ。はたから見ると働かないで遊んでばかりいる、となる。

こうした人たちは働いていないので、やることは遊ぶか寝るかしかない。本当は自立に向けて何か資格を取るとかすれば良いのに、そうした活動をする人達は殆どいない。

一般市民は誰が生活保護を受給しているかは当然分からない。分かるのは民生委員ぐらいだが、その民生委員にしても、対象者は「遊んでばかりいて」と思うことも多い。それも無理ないことだ。何もやることがないから、小人閑居して・・・とまでは言えなくとも、遊んでいるようにしか見えないのだ。

これは結局、怠惰は悪いことかどうかという議論にもなる。私見では、元気な怠惰は悪いことだが元気でない怠惰は仕方ないことだ。

婚活や恋愛は遊んでいることになるのか

話を婚活や恋愛に戻そう。婚活や恋愛していること自体が遊んでいると思われるかも知れない。でも、恋愛の結果、結婚して、そして頑張ろうと思い、自立できればそれはそれで良い。

恋愛の結果、生活保護受給者が増えることもある。相手とともに共倒れということも良くある。

子供ができて、その子供だけが増えるということもある。こうなれば、生活保護受給者の再生産だ。

生活保護受給者の婚活や恋愛は結果で評価される

結果が初めから分かっているなら制限のしようもあるが、その付き合いがどういった付き合いなのかは、当事者でないと分からないし、当事者にしても、結果は、それこそ結果論でしかない。

だから婚活や恋愛を制限することなどはできやしない。

自堕落な生活で行きずりの物との間に子供ができるということも良くある。だからと言って生活保護を廃止することにはならない。そうした生活を止めろといって、止めなくとも生活に困窮しているという事実は変わらないからだ。

生活保護とは、そういったことを含めてのセーフティネットなのだ。要は何でもありの世界と認識してもらう方が正しいのかも知れない。

でも、仮に自堕落な生活をしているとすると、そうした生活を改めるようにという助言はするし、しなくてはならない。そう言われることがプレッシャーとなることがせめてもの歯止めなのかも知れない。