今日の北海道新聞朝刊に「公務員の在宅勤務を模索している」という記事が掲載されていた。北海道では職員がタブレット端末やパソコンを活用した在宅勤務を試行しており、通勤や保育園の送迎に時間をかけることがなくなり好評という。
ところで、この在宅勤務のことなどをテレワークというらしい。
バズワードとは、日本語での意味は、もっともらしいけれど実際には定義や意味があいまいな用語のことを言う。
クラウドコンピューティング、マルチメディア、責任力、複雑系などがその代表格らしいが、私はこれに「テレワーク」を加えても良いのではないかと思っている。
そんなテレワークを調べてみた。
目次
テレワークの種類
「テレワーク」とは「テレ」で離れたところで、「ワーク」する。「働く」ということで、一見明瞭ではあるが、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務などがあり、離れたところで仕事をするなら何でもありの言葉だ。
「在宅勤務」は最もテレワークらしいが、これは殆どの人がやりたがらない。平成29年度総務省統計でも 62.2%もの人が拒否反応を示している。そりゃそうだろう。自分の家で仕事をすることなのだから。自分の家では皆ゆっくり休みたい。
「モバイルワーク」は顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使うもので、こんなことはわざわざ「テレワーク」と言った言葉なんて使う必要などない。事務の効率化で昔からどこでもやっていることだ。
「サテライトオフィス勤務」というのは、要は規模の小さな支店ということだろう。支店を作る必要のあるところはとっくに作っているだろうし、社員に仕事をやらすための場所だけに固定資産を振り分けるところなんかありゃしない。統計的にも最も少ない割合だ。
私は、もともと在宅勤務のことをテレワークと言っていると思っていたが、このように離れたところで仕事をするなら何でもテレワークである。
だから、「あなたの会社はテレワークをやっていますか」と聞かれたら、外出先でスマホを使えば何でも該当する。
スマホひとつでテレワークのところもあれば、わざわざサテライトオフィスを作っても同じテレワークだ。テレワークをしているかどうかの統計も随分といい加減にならざるを得ないだろう。
某県のテレワーク推進に係る講義を聞いてきた
行政ではどのようにやっているか興味津々で聞いてきた。講義内容を詳細にすることは差し控えるが期待外れであった感は否めない。
テレワークは公共サービスのイノベーションのプラットフォームとなるとは言うが現実には言葉が持つイメージとは程遠い。結局、某県では何をしているかというと
・iPadを多数導入
・不法投棄監視でITの駆使
・税務徴収で滞納者宅で納付書発行
・農業改良普及センターでの専門員指導が職場で可能
・サテライトオフィスを作り外勤時の直帰可能化
・出張時にメール確認可能
・災害時のマニュアルを誰もがネットで見れる
サテライトオフィス以外は、今迄のクラウド活用と何が違うのかとうのが正直なところだ。
テレワークのメリット、デメリットを見てみる。
従業員に関して
メリット
・通勤不要、子育てや介護をしながら仕事ができる、作業に集中できる、ワークライフバランスの最適化
デメリット
・正当な評価をされない可能性、自己管理をしにくい、コミュニケーション不足や孤立
経営者に関して
メリット
・震災などによるリスクを分散、離職率の低下、生産性の向上、企業イメージの向上
デメリット
・IT端末のセキュリティ管理が必要、労働実態の不可視
しかし、これらのメリットデメリットはテレワークで何を行うかによって全然異なる。殆どが在宅勤務におけるメリットデメリットであって、大々的にテレワークを施行していなければ該当しないだろう。
このようにメリットがあればデメリットもある。もろ手を挙げて導入ということにはならないだろう。メリットとデメリットとの比較均衡でもある。事業規模や方法によっても異なる。
あなたが従業員なら会社がテレワークを進めて、ライフワークバランスが良好になるかも知れないし、ハードな勤務になるかも知れない。
あなたが経営者ならテレワークを進めて従業員がサボるようになるかも知れないし、事務効率が上がり、企業イメージがアップするかも知れない。
まとめ
面白いのは行政がテレワークを推進しようとするあまり補助金まであるということだ。尤もスマホひとつ使っただけでは下りないだろうが、企業の事務改善で雇用者のワークライフバランスが維持されるなら該当するようである。
働き方改革の一環の中で、テレワークという言葉が一人歩きして、かつてのITと同じようにテレワークさえできれば何でも解決するかのようなイメージがある。ITが現実にはそうでなかったようにテレワークも蓋を開けてみれば単なる外出先でスマホを使っていただけに過ぎなかったりするかも知れない。
効果に比べて経費の方が多くなるかも知れない。特に公務員のテレワークは我々の税金が投与されることを忘れてはならない。
メリットもあればデメリットもある。冷静にテレワークを見る目が必要だ。