クジラ

政府はIWC脱退を決めたがマスコミはこぞって脱退を反対している。これは正しことなのか。
「IWC脱退へ 展望のある選択なのか」と題する社説が12/24北海道新聞に下記引用のとおり掲載された。少々これをもじって反論してみた。文脈が若干変な点はこの社説に倣ってのことなのでご容赦願いたい。

IWC脱退は展望のある選択だ

政府は約30年ぶりの商業捕鯨再開に向け、国際捕鯨委員会(IWC)を脱退する方針を固めた。交渉の正念場だった9月のIWC総会で商業捕鯨の一部再開の提案を否決されたため、政策転換を決断したようだ。反捕鯨国との話し合いが行き詰まっているなか、この決断は将に展望のある選択と言えよう。

水産資源の管理は国際協調が欠かせないにもかかわらず、IWCでは、保護一辺倒の反捕鯨国とは科学的知見に基づく議論が困難だった。戦後、日本が国際機関を脱退した例はほとんどないことから、今回の決定が、日本の毅然たる態度を示すものとして他の分野においても国益を利することになるだろう。北方領土の解決にも道筋を付けるかもしれない。政府が目指す商業捕鯨の姿は日本の食文化を守るという点でも明確だ。

このままIWCに残り意味のない議論を続けることには、国民が納得できる説明ができなかったであろう。

IWCの規制の下、日本は南極海と北西太平洋沖合で調査捕鯨を実施してきた。このほか、網走を含む数カ所で、規制外の小型鯨類の沿岸捕鯨が行われている。これらはIWCから脱退することで不可能となったがそれはやむを得ない。

日本は調査捕鯨を通じて資源量回復を主張してきたが、2014年に国際司法裁判所から南極海での調査差し止めを命じられた。さらに、今年10月にはワシントン条約の常設委員会で、北西太平洋の調査捕鯨の副産物である鯨肉の国内持ち込みが条約違反とみなされ、是正勧告を受けた。

調査捕鯨を取り巻く状況は極めて厳しかったと言えよう。

このためIWC脱退後は、沿岸や日本の排他的経済水域(EEZ)での商業捕鯨を行うが、克服すべき課題は確かにある。例えば、クジラは国連海洋法条約で、国際機関を通じた管理が義務付けられているということなどである。ただ、これは、捕鯨国同士での新機関設置といった方法が挙げられており、すでにノルウェーなどの捕鯨国の日本のIWC脱退への理解が得られているなか容易に設置が可能となるだろう。

地球温暖化対策で「パリ協定」離脱を決めた米国と同様、国際社会から注がれる視線が厳しさを増すとも言われているが、国際社会とは何か、国際社会の意見は常に正しいのかを考えなくてはならない。反発を恐れて日本文化否定に盲目的に走ることが正しいとは言えない。

マグロやサンマなどの資源管理では、日本は国際協調を求める立場に関わらずIWCを脱退することは矛盾するとの意見もあるが、IWCの捕鯨反対とマグロ等の資源管理を同一視してはならない。マグロ等はあくまでも資源管理が目的だが、IWCは捕鯨を否定する目的なのだ。資源が枯渇しないように管理しようという話と資源があろうがなかろうが、取っちゃダメという話とでは共通点は何もない。

当然、反捕鯨国の反発などによる悪影響が懸念される。だから日本は法に則った毅然たる対応をしなくてはならない。

国内の鯨肉消費量は激減し、既に大量の在庫を抱えている。現状では商業捕鯨に転換することのメリットは見えづらいとも言われているが、なぜ、消費が伸びていないかを考えれば一目瞭然だ。高いから消費が伸びないだけで、今後、希少価値がなくなり安価になれば間違いなく消費は伸びる。。脱退方針の背景には、自民党からの強い圧力があったとされるが、国民が選んだ政党が国民の意見を代表するのは当たり前だ。

沿岸捕鯨をはじめとした関係者は、期待と併せて、要らぬ不安も抱いているだろう。それに乗じてIWC脱退批判も聞こえるため、政府はできるだけ早く、脱退後の日本の捕鯨のハッピーな全体像を示す必要がある。

 

IWC脱退へ 展望のある選択なのか

12/24北海道新聞

反捕鯨国との話し合いが行き詰まっていたとはいえ、これは展望のある選択なのか。政府は約30年ぶりの商業捕鯨再開に向け、国際捕鯨委員会(IWC)を脱退する方針を固めた。交渉の正念場だった9月のIWC総会で商業捕鯨の一部再開の提案を否決されたため、政策転換を決断したようだ。
IWCでは、保護一辺倒の反捕鯨国とは科学的知見に基づく議論が困難だったことは事実だが、戦後、日本が国際機関を脱退した例はほとんどない。水産資源の管理は国際協調が欠かせない。今回の決定が、他の分野での協力の妨げにならないだろうか。政府が目指す商業捕鯨の姿も不明確だ。
方針転換について、国民が納得できる説明を求めたい。IWCの規制の下、日本は南極海と北西太平洋沖合で調査捕鯨を実施してきた。このほか、網走を含む数カ所で、規制外の小型鯨類の沿岸捕鯨が行われている。
日本は調査捕鯨を通じて資源量回復を主張してきたが、2014年に国際司法裁判所から南極海での調査差し止めを命じられた。さらに、今年10月にはワシントン条約の常設委員会で、北西太平洋の調査捕鯨の副産物である鯨肉の国内持ち込みが条約違反とみなされ、是正勧告を受けた。
調査捕鯨を取り巻く状況は極めて厳しいと言えよう。このためIWC脱退後は、沿岸や日本の排他的経済水域(EEZ)での商業捕鯨を行うというが、克服すべき課題は多い。クジラは国連海洋法条約で、国際機関を通じた管理が義務付けられている。捕鯨国同士での新機関設置といった方法が挙げられているが、容易ではないだろう。
地球温暖化対策で「パリ協定」離脱を決めた米国と同様、国際社会から注がれる視線が厳しさを増すのは避けられまい。マグロやサンマなどの資源管理では、日本は国際協調を求める立場だ。反捕鯨国の反発などによる悪影響が懸念される。
国内の鯨肉消費量は激減し、既に大量の在庫を抱えている。現状では商業捕鯨に転換することのメリットは見えづらい。脱退方針の背景には、自民党からの強い圧力があったとされる。
沿岸捕鯨をはじめとした関係者は、期待と併せて、不安も抱いているだろう。政府はできるだけ早く、脱退後の日本の捕鯨の全体像を示す必要がある。