NHK

「NHKから国民を守る党」に対するNHKの本当に分かりやすい中身のない反撃が始まった。産経新聞では次のように報道されている。

21日投開票の参院選で、NHKの放送を契約者だけが見られるようにする「スクランブル化」を主張する「NHKから国民を守る党」が議席を獲得し、政党要件も満たしたことに絡んで、NHKの木田幸紀放送総局長は24日の定例会見で、「受信料制度やその公平負担について、誤った理解を広めるような行為や言動については、きちんと対応し、明らかな違法行為は放置せず、厳しく対処したい」との考えを示した。

これを見て、先ず思ったのがこれは「恫喝」ではないかということ

明らかな違法行為は放置しないとあるが、法治国家の日本では当たり前のことである。改めて言うことではない。で、違和感を感じるのが「誤った理解を広めるような行為や言動」があたかもそれだけで違法行為となりうるかのように言及している点だ。

「放送にスクランブルをかけて見る者のみに受信料を負担してもらう、そうして欲しい。」と訴えることのどこに違法行為を存在せしめるのだろうか。違法行為と関連付けする解釈がありうるということに恐ろしさを禁じえない。

自分たちの考えと異なることを「誤り」と一刀両断にして追求する。都合の悪いこと、都合の悪い団体は徹底的に叩きのめす。そうした姿勢は、まるで戦前の言論封鎖と同じだ。これがまかり通るなら主義主張を訴えることができなくなる。まさに言論の自由を奪うものだ。

 総局長は、NHKが「視聴者に公平に負担してもらう受信料を財政基盤としているからこそ、暮らしを守る情報や、多様な番組を作るのが公共メディアとしての社会的使命」と説明。その上で、「受信料を支払っていない人は見られない有料スクランブル化は、NHKが果たすべき公共的役割や機能を根本から毀損(きそん)する恐れがある。公共放送の役割や受信料制度の意義について、十分ご理解いただけるよう、今後もしっかり説明していきたい」と話した。

NHK受信料のどこが公平か

放送法は罰則がない。受信設備を設置したかどうかは本人申告でしか分かりようがない。なので、設置していても設置していないと言い張ることができる。そうした輩からは徴収しないでいてどこが公平な負担なのか。

スクランブル化するとなぜ暮らしを守る情報や、多様な番組を作ることができなくなるのか

スクランブル化しても受信料が入るし、受信料によって番組を作成することは変らない。なのになぜ、スクランブル化すると暮らしを守る情報や、多様な番組を作ることができないと言い切ることができるのか。

正直に、スクランブル化すると受信料が減るので暮らしを守る情報や、多様な番組を作ることができないと言えば良いのではないか。受信料が減ることが嫌だと言えばそれで良いのではないか。

でも、NHKの暮らしを守る情報や、多様な番組なんて誰も期待などしてはいない。本当に必要な情報なら税金で賄うべきだ。

公共メディアとしての社会的使命と言えば何でも許される時代ではない

憲法21条が規定する表現の自由の保障の下で,国民の知る権利を実質的に充足し,健全な民主主義の発達に寄与することが公共メディアとしての社会的使命らしいが、メディアの多様化に伴い、こうした使命はNHKだけが負うものではなくなっている。事実、放送法はこうした使命を民間放送事業者との二本立てとし、相乗効果を期待しているものなのだ。NHKだけが優遇される時代ではない。

受信料を支払っていない人は見られない有料スクランブル化は、NHKが果たすべき公共的役割や機能を根本から毀損(きそん)する恐れがあるのはなぜか

まあ、これも正直に収入がなくなってしまうので、NHKが果たすべき役割や機能を果たせなくなる、そんなこと言わないでと泣きを入れる方が説得力があるだろう。尤もNHKが果たすべき役割や機能などは低減された受信料の範囲内で行えば良いことなのだが。

 その上で、「放送法や受信規約にのっとって適切に業務を行っている以上、法に照らして明らかな違法行為には厳しく対処したい」とし、「具体的内容は検討中だが、厳しく対処する。いろいろな可能性が出てくる」などと説明した。

先の内容と重複するが、「NHKから国民を守る党」が暴力に訴えて国会議事堂を占拠するなどがあれば当然のことながら厳しく対処しなくてはならないが、そんなことをするはずがない。具体的な違法行為となりうることを例示してもらいたいものだ。具体性がないのなら「厳しく対応する」という「おどし」にしか聞こえない。

 また政党要件を満たした同党が、今後の「日曜討論」などの番組に出演する可能性について、編成局の担当者は、「与野党同席の場合、選挙結果や国政への参加の状況などを踏まえて、報道機関の自主的な編集権に基づいて判断する」と説明した。

「自主的な編集権」と言えば聞こえが良いが要はやりたい放題やるということか。自分達に都合が悪いと何でも「自主的な編集権」で切り捨てるのだろうか。

NHKには、なぜ「NHKから国民を守る党」が議席を獲得したのかを真摯に考えて、正すべきものは正して欲しい。