ホームレス

ホームレスは生活保護を受けれるのだろうか。ホームレスであっても日本国民に違いないので理屈上、受けれないはずはないと考えるのだがどうだろうか。

これについては、以前は、受けれなかったことに間違いない。法律が変わったわけでないので、実務上の取扱いとして保護の対象としていなかったのだ。

しかし、最近は現実的な取扱いとして受けれることとなっている。

技術的にどのように保護をするか、以前はなぜ保護できなかったのかを考えてみる。

■今はホームレスでも生活保護(生保)の適用がある

もしも、ホームレスの保護を実施するとしたらどこが実施機関となるかというと、ホームレスがいるその場所を所管する実施機関となる。現在地保護である。ただ、いつも歩き回っていて居所が定まらないからホームレスとすると、その現在地は、本人が考える場所というのが正解だろう。つまりは、本人が行った福祉事務所が実施機関となる。

もちろん、ネットカフェ難民も同じだ。

この辺りは推測だが、以前はホームレスを保護の対象としなかった理由は、「居所がないホームレスが申請した場所で保護を行うと、保護費をもらう都度、場所を変えて保護申請するということが可能となってしまう。福祉事務所を渡り歩いて、同時期に複数の福祉事務所から保護費をもらうということができてしまう。また、保護を実施したとしても、居所がないので実態調査ができない。生活保護の指導指示もできないので、生活保護を適用したくともしようがない」と考えていたものと思う。

最近は、こうしたホームレスは極力保護するように方向性が変わっている。もしも、ホームレスから申請が上がった場合は、それなりの支援を行う。ただ、この辺は自治体により温度差はあるだろう。

■ホームレスが生活保護(生保)を受けるときの事務手続き

生活保護の申請があると、ケースワーカーは、先ずは、居宅生活を行うように助言する。そのためには敷金等の費用が発生するがそれらは保護決定したときに支払われる。一時的に不動産業者には待ってもらうこととなるが、不動産業者も商売なので生活保護の適用を前提に一時的に待つことは特には支障はないようだ。

ケースワーカーは不動産業者と連携を取り、アパートの重要事項説明書を確認したうえで保護費を支給することになる。

このようにホームレスが生活保護を受けることは、居宅を構えることが前提ではあるが、今は特には問題なく受給できている。以前もこの方法が取れたのではないかと言われると、法律が変わったわけではないので確かにそのとおりだが、以前は、生活保護を受けていない者に対しては、敷金等を支給できないと考えられていたことから、この取り扱いはできなかった。当に鶏が先か卵が先かとなるが、実態調査等ができないため、被保護者となることができず、敷金等を支給できないという理屈になっていた。

このように居所を定めるように助言し、居所を定めた場合は生活保護の適用になるのは異論がないところだが、この助言に従わなくてはならないという義務はない。今いる場所で生活保護を受けたいとの主張も当然ありうる。

例えば、テント生活者のホームレスがテントを張っている場所で生活保護を受けたいというような場合であるが、テントを張っている場所が自分の所有地であるならいざ知らず、他人の土地を違法占拠している状況ではそこを居住地としての生活保護は認められない。生活保護を適用すると違法占拠を行政が認めることになるからだ。

居宅を構えずに、路上生活のままでの生活保護の適用はどうかとなると、まあ、これは依然として生活保護の適用とはならないだろう。実態調査が不可能だからだ。ある時点ではAという場所に居たとしても、次に実態調査しようにもその場所にはいないからだ。生活保護を適用したくとも適用のしようがない。

ホームレスが福祉事務所を渡り歩いて、同時期に複数の福祉事務所から保護費をもらうということは依然として考えられるが、これについては居宅で保護を行っている者についても同じであろう。あっちこっちに行きやすいかどうかだけの違いに過ぎない。

■なぜホームレスの生活保護(生保)適用が少ないのか

生活保護がこのように簡単に(依然と比べての意、適切な調査のもとというのは当然)ホームレスにも適用となっているが、まだまだ、生活保護を受けないホームレスが多い状況にある。なぜ、ホームレスは減らないのだろうか。

先ずは、ホームレスがどう考えているかであるが、本当のホームレスが保護受給をどう考えているかは微妙である。これについては、こちらのサイトで異なる視点で言及しているが反論を交えて引用したい。

http://www.jicl.jp/now/saiban/backnumber/homeless.html

路上生活者に対しては、ある種の偏見があります。「怠け者」「自ら望んで通常の社会生活を拒否し路上生活をしている」といった社会的偏見です。新宿の段ボールハウスを強制撤去した青島元都知事は「あの方々は独特の人生観と哲学をおもちで・・・(段ボールハウスに)お住まいになっている」と発言しましたが、一時期はこういった偏見が横行していました。

これだけ生活保護が受けやすくなっている現在、果たして偏見なのだろうかと思う。誰の指示、干渉を受けずに生活したいと考えているということはありうるのではないだろうか。。

事実、生活保護を適用したが居宅生活に馴染むことができずに、再び、ホームレスとなったという話も聞いたことがある。

では、なぜ路上生活をやめて生活保護を受けないでしょうか?

答えは、生活保護行政が極めて抑制的な保護運用を行い、①路上生活者が生活保護を申請しても受け入れられない例が多発しているためです。また、②路上生活者の側にも「住民票がないと生活保護は無理」③「55歳以下の場合は、まだ就労可能だから生活保護は無理」といった誤った知識が流布され、保護申請を諦めてしまう現実があります。

②、③については、ここで言及されているとおりだ。生活保護はこうしたことは関係ない、つまりは日本人であれば住民票の有無は問わないし生活保護に年齢は関係ないということであって、これらの周知はホームレスには必要だろう。①については、以前はそうであったが今はそうではないということは先述のとおり。

■まとめ

生活保護の門戸はホームレスにも当然開かれている。個々人の考えもあるが、不正を行う趣旨でなく、真に自身が居宅生活を送りたいならホームレスは迷わずに福祉事務所に相談するべきだ。