年金手帳

起業するときには社会保険のことを良く考えなくてはなりません。気が付けば年金に非加入でもらえなかった、体調が悪くて病院に行かなくてはならなかったが健康保険に加入していなかったなどということはあってはいけないことです。

健康保険のことを考えましょう

起業にあたっては考えなければならないことはたくさんあります。その中の大きなひとつは健康保険のことです。会社員時代には健康保険のことは会社がやってくれていたのであなたは自分の職務に励んでいれば良かったのですが、一国一城の主となった今は全て自分でやらなくてはなりません。

健康保険は、今までは会社の健康保険だったのが今後は、①起業して法人を設立した場合は社会保険の健康保険となり、②個人事業は国民健康保険となります。しかし、どちらにしても今までとは大きく異なります。

社会保険の健康保険の場合は本来は個人負担分のみで良いのですが、社長となれば会社の立場で事業主負担分を含めて両方を払うことになりますし、国民健康保険では前年度の所得に応じて保険料を払うこととなります。

どちらにしても今までよりもバカ高くなります。起業時の経費は色々と考えているでしょうが、健康保険のことまでは考えていないのではないでしょうか。起業してこんなはずじゃなかったと思うもののひとつです。

法人化した場合は全て、個人の事業所は常用従業員が5名以上いると社会保険(健康保険・厚生年金保険)の強制適用事業所となります。

ところが、実際には事業者負担分を払いたくないがために未加入の事業所もあるようですが、やはり加入しなくてはならないものはきちんと加入しなくてはなりません。

国民健康保険に加入したときは、普通は減免制度があります。これは所得に応じて自動的に減免されるものと、前年所得に比べて著しく所得が下がった場合の減免のふたつがあります。

前者は前年の所得が高ければ減免は無理です。後者は自治体により適用が違いますので役所の窓口で聞いてみることをお勧めします。

なにも手当せずに、滞納を続けていると短期証や資格証となってしまい、病院の窓口で一旦全額を払わなければならなくなってしまったり、場合によっては預貯金や生命保険の差押まで受けたりします。

役所の取立てなんか甘いと思うかも知れませんが、確かに闇金のような取立てはしないものの闇金よりも恐いのは資産があればすぐに差押になってしまうことです。これは間違いありません。

そんな、税金でもない国民健康保険でそんな手荒なことをするのかと思うかも知れませんが、実は「取立ては税金と同じ」ということを知っておいてください。税金は国税徴収法に基づいて行われますが、国民健康保険もこの法律を準用して行われるのですから。

くれぐれも、気が付いたら保険証がなかったということにだけならないでください。

年金のことを考えましょう

「将来年金がもらえるかどうか分からないから年金なんて払わない」と豪語する人もいますが、これは誤りです。年金は将来必ずもらえます。

ただ、支給額が今より下がるかもしれないということと、年金支給開始年齢が高くなる可能性があるということがあるだけです。

年金がどれだけ有利かということを考えた場合、支払った額とリターンを考えた場合は貯蓄とは比べ物にならない程有利なのです。

ちょっと試算してみますと、国民年金保険料が月16,500円で25年間かけると保険料は4,950,000円です。これに対して85歳まで生きるとするともらえる期間は20年間で月65,000円ですので、合計して15,600,000円です。

何と掛け金の3倍ものお金がもらえるのです。単純計算して年利13%ほどです。今の預金の利率を考えてみるとあり得ないですね。更に長生きすると更に多くがもらえる計算です。

とは言っても早死にしてしまうと確かに掛け損にはなりますが、平均寿命を考えるとあなたが70未満で死ぬ可能性はどれほどあるかを考えると自明の理ですね。70歳までには必ず死ぬと分かっている人以外は年金に加入しておくべきものです。

それではどのような形での年金加入になるかと言いますと、法人を設立した場合は厚生年金、設立しない場合は国民年金保険となります。

今迄、サラリーマンのときは自動的に控除されていましたので支払っているというイメージはなかったかと思いますが、これからは具体的に支払って行かなくてなりません。

国民年金保険料は大体17,000円弱、厚生年金保険料は健康保険とセットで最低でも25,000円ほどです。普通は会社と折半ですが、貴方が社長なら会社分も払うのは貴方ですので全額を予定しておきます。

このため、社長報酬をいくらにしておくかは大変重要になります。なお厚生年金のリターンを考えるうえでは、掛け金を払うことによって国民年金分も払っていることになるということです。最低限の掛け金の場合は、ほぼ国民年金保険料と変わらない金額で将来2階部分の支給を受けることができるというメリットがあります。