過疎地でJRやバス路線の廃止の話は良く聞く。その都度、しわ寄せを被るのが過疎地に住む人々だ。
もともと、高齢者が多く、交通弱者で通院もままならない状況に陥いると聞く。
行政も可能な限り支援しようと、過疎地で車を保有している人々を登録して、乗合を勧めるが、登録者は全く増えず絵に描いた餅となっている。
目次
乗合運転車の登録が増えない理由は何か
なぜ、登録者が増えないのか。それは当たり前だ。車を出して送迎しても燃料代程度の実費しか出ないからだ。
忙しい時間帯に骨を折って送迎しても何ら手当が出ない、タダ働きである。ボランティアでは登録者は増えるはずがない。
なぜ、手当が出せないかは明らかだ。白タク行為になるからだ。
中国人が仲間内で有料で同国人の観光を手助けしているというニュースが出て問題になっている「白タク行為」と同じくなってしまうのだ。
中国人の白タク行為が違法で日本人なら良いとする訳には当然いかない。
なので、現行法ではやむを得ない対応となる。
しかし、これで良いのだろうか
営利目的で行う白タク行為と過疎地での交通弱者救済のための配車を同一視して良いわけはない。
だから、過疎地に限って一定の条件のもとでの白タク行為を法整備により認めるようにするべきだ。
いや、白タクと言ってしまえば身もふたもない。過疎地対応型配車制度とでも言っておきたい。
白タクの問題点
過疎地対応型配車制度を策定するとしても、白タクがなぜ良くないかから見て行かなくてはならない。
先ずは、安全面である。営業車を運転できる者は第2種免許を持った者でなくてはならないが、普通の人は通常、普通免許しか保持しておらず、安全が担保されない。
次に事故が発生した場合の補償が担保されない。
また、指揮命令系統が不明で過重労働にも繋がる。
こうした理由からだと思う。業界団体の反対も当然あるだろう。
過疎地対応型配車制度でも単純に全て過疎地であれば乗合運転がOKとするわけには行かない。こうした問題点は解決しなくてはならないのだ。
私見の過疎地対応型配車制度内容
こうした問題点の解決方法については以下のような事柄を提案する。
安全面について
外国ではUber(ウーバー タクシー)などを利用した白タクが公に認められている。普通自動者免許だから安全ではではないとは言い切れない。
要はどのような技量を持つ者か、安全運転を心掛ける者かどうかである。
これは過去の交通違反歴有無で選定したり、一定の講習を義務付けることで担保する。
指揮命令系統、過重労働防止施策
行政の管理下で自治体に業務管理を委任する等、管理者を設ける。配車予約システム等を活用した事務も生ずるので一括委託という方法を取り、当然、過重労働とならないような計画的配車とする。
もともと余暇活用程度の業務内容であれば過重労働となるはずはないが。
事故が発生した場合の補償
管理者が登録者の使用する車に保険をかける。事業で使用しているときのみ支払われる保険とするが、使用者の追加負担で私用時にも出るようにするなど一定の工夫をする。
運転者の賃金について
実費程度しか支給できなかったのが今までの制度なので、ある程度の収入は確保できるようにする。少なくともボラバイト以上とする。
利用運賃
過疎地は公共交通機関がないだけであって、交通手段はお金さえ出せばいくらでもある。どこに行くにもタクシーを使えば良いだけだ。論点は安価な交通手段がないという点だ。
なので、運賃は公共交通機関+αとする。
ルート、時間について
運賃は公共交通機関+αとして自由に乗り放題なら安価なタクシーと変わらない。そうならないためにも、ルートや時間が公共交通機関が一定なように過疎地対応型配車制度もある程度一定とする。
これにより公共交通機関のように複数の者で乗合が可能となる。
ただ、このルートと時間は配車する者の都合に合わせることになるのでフレキシブルなものとなる。
行政の補助
行政も当然補助をする。
適用範囲
一定の過疎地に住む者が運転し、同過疎地の範囲に居住する者を利用者とする。都道府県知事が認定する。
過疎地有償運送について
ちなみに、2006年、道路運送法が改正され、「過疎地有償運送」として制度が始まった。地域の住民などが講習を受けて運転手になり、料金を得て客を運ぶことができる制度である。
しかし、これは、NPO法人や社会福祉協議会が地域住民に提供する運送サービスで、料金は実費の範囲内でなくてはならない。今回のこの提言は実費を超える報酬を出すことができる制度にするべきであるという提言である。
まとめ
これらは、例示であって詳細はいくらでも詰めることができる。要はこのような方法により法制化することで、有料で自分の車を過疎地の交通に役立てることができるのではないかということだ。
法整備とシステム構築の両面で過疎地の交通を確保するべきだ。
先ずは、実証実験をいくつかの過疎地から始めることを提案する。