マレーシア旅行記、南国情緒のマレーシア(三日目)

マレーシア旅行記3日目

ヘリテイジホテル

予定より早く、出発から4時間、午後1時20分にキャメロンハイランドの中心地、タナ・ラタに到着した。

バスから降りてすぐにホテルを探した。到着前にバスの窓からホテルの看板が見えたので目指すホテルはここから近いはず。地図で確認し、その方向へ足を進めた。バスから見た看板はすぐに見つけることができたが、ホテルは見当たらない。本によると少々歩くらしい。地図を頼りに坂道を歩き始めた。

しばらくすると左手に立派な洋館の建物が見えてきた。 近くまで行き看板を見ると間違いなくヘリテイジホテルと書かれている。建物の前まで行くが不思議なことに入り口がない。ただのアパートのようにも見える。もう一度看板の所まで戻るとヘリテイジホテルと書かれ下にグリーンなんとかと書かれている。ここは、恐らく長期滞在者用のアパートだったのだろう。

ここまで来るのに坂道を10分ぐらいは歩いている。結構きつい。先に行くと大きな建物が見えてきた。どうもここらしい。同じようなアパートを越えて行くと目指すホテルはあった。結局、ここまでたどり着くのにゆうに20分はかかった。

フロントは若い女性一人である。バウチャーを提示したがチェックインは3時という。仕方ないのでタナ・ラタの町の散策に出ることとした。同時に、ツアーがあるかどうかも聞いたところ、ツアーパンフレットを見せてくれた。5種類ぐらいツアーはあるが、見たい三宝寺院が含まれるツアーはただひとつだったのでその予約を入れた。とても親切に対応してくれた。

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街中
タナ・ラタの街中は狭い。せいぜい、300メートルぐらいの中に集中して店舗やらバス、タクシーステーションが入り乱れている。ぐるぐる回ってもせいぜい、1時間ぐらいで見て回ることができるだろう。

本に載っていたレストランに行ってみた。客は混んでいたのでインド系マレー人と相席になった。座るなり、ハーイと言って来るので、一言二言会話をすることにした。いつもこの店に来ているらしい。

日本人は海外では必ず日本人と分かるという人がいたので本当にそうなのかどうか聞いてみたい衝動にかられた。オフィシャルでは聞くことができないのでこのようなラフな機会はまさに千載一遇である。しかし、答えは「わからん」と言われてしまった。質問が理解できなかったのか何人なのか分からないという意味なのかは分からないが少々残念だった。ここのカレーは絶品だった。

救急車が走っていた
それからもぐるぐると回ったが時間があるし、足も疲れてきたのでスターバックスコーヒー店で休み、かれこれ5時くらいまでタナ・ラタに居た。

ホテルのロビー
ヘリテイジホテルに戻ると先ほどの女性は居なかった。別のスタッフにチェックインをお願いしていると、奥から先ほどの女性が出てきて、「ノリオサン、コノヒトワタシノトモダチ」と日本語で言ってきた。同僚に友達というのは果たしてどうなのか。日本語の使い方が分からないのかと思っていると続けざまに「ワタシノトモダチ、キレイデショ」という。

はてどこかで聞いた台詞だ。 そう、良く、若い女性が男友達に自分の友達を紹介するときに、本当は自分の方が綺麗と思っているくせに、友達を立てて「綺麗でしょ」という台詞。洋の東西を問わず若い女性の発想は同じということか?とっさのことだったので「そうですね」と愛想もなく答えた。

キャメロンハイランドには日本人のリタイア組みが大勢滞在していると聞く。狭いタナ・ラタの街を歩くだけで車の運転マナーの悪さに辟易したが、果たして彼らは快適に過ごしているのだろうか。

ヘリテイジホテルは結構立派な作りで、スタッフもフレンドリーだが、如何せん、交通の便が悪いのが残念だ。

長距離バス(キャメロンハイランド行き)

長距離バスステーションはホテルから目と鼻の先にあるプドゥラヤバスステーション。1階がバス発着所、2階が切符売り場と売店、屋台など。2階は人でごった返している。

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乗車券売り場
乗車券売り場は100ほどのブースとなっているが、なぜ、こんなにブースが並んでいるのか皆目検討がつかない。本には行き先ごととはなっているがそんなに行き先があるとも思えない。呼び込みもいて喧騒がすごい。

この呼び込みにキャメロンハイランドへのブースを聞いたらすぐに案内してくれた。翌日の9時出発便でVIPシートでRM35。1000円ほど。

翌日は8時30に発着場所に着いた。キャメロンハイランドまでは曲がりくねった道の連続と聞いていたので、酔いにくい一番前の席に座りたかったため、早めに行くことにした。

発着場所には僕が一番早く来ていた。しばらくすると数人が続いた。先のバスが出発準備を整えて待機し、ほどなく、目的のバスが到着し、ドアが開いて運転手が降りてきた。この運転手は僕の昔の上司にそっくりだったので、密かに「部長似」と名付けることにした。

バスのドアが開いているが、発着場所の先方に他のバスが止まっているので、先頭まで行ってから客を乗せるのかと思っていたら、客が一人乗車した。もう乗っても良いのかと思い自分も続いた。 ラッキーなことに先客は一番前の席には座らなかった。VIPシートなので左側に1列、右側には2列の3列しかない。

一番前の席に座ろうと思ったが、この席は何か変だ。席の前にボックスのようなものが置いてあり、座ることができない。試しに、ボックスを持ち上げてみたらすぐに動いたので、通路側にずらして座ろうとしたが、それでは通路が塞がれてしまう。ここは座って良い席なのかどうか分からなかったので仕方がなくその後方に座ることとした

しばらくして部長似の運転手が運転席に座ったので、聞こうと思い背中をつついたが、いきなり無視された。そのまま先方までバスが移動して部長似は降りようとしたので、続けざま「この席は座れるのか」と聞いてみた。すると部長似は何も言わずに左手のこぶしを握り親指を上にあげて何度か振った。なんだこれは意味が分からん。

2列目に座っていると、マレー系の中年男性が乗ってきた。「この席に誰かいるのかい」と先頭の席を指差して聞いてきたので「いないと思うよ」と答えたら、その席に座わろうとした。どうやって座るのか興味があったのでじっと見ていると、やはりその足置きのようなボックスが置いていては座ることができない。試行錯誤の末、ボックスを通路側にずらしてようやく座った。

ちょっと経ってから部長似が再び乗って来た。マレー人を見て、ボックスが通路に出すぎているのでずらすように、手で合図をした。マレー人は足をずらしてボックスを自分の側に戻したがそれでも足の幅だけボックスが通路に出ていた。足を床に付けていたらどうしてもボックスは通路側にはみ出てしまうのだ。

部長似はそのまま運転席に着いた。すると、今度は若いガイドのような人が乗ってきた。マレー人を見てやはりボックスを座席側に戻すように手で合図をしたが、マレー人はこれ以上は動かすことができないでいた。

すると、何とあろうことか、そのガイドは自分で無理やり、ボックスを戻そうと押し始めたのだ。これにはマレー人は驚いたのだろう。そのまま、ほうほうの体で、その席から僕の右横の席に移った。

日本では考えられない光景だ。おそらくマレー人の足はそのボックスに挟まれていて、そこを力ずくで押されたのだからたまったものではなかったのだろう。日本でこんなことをしたら「客に向かって何をするんだ」ということで大問題になるのではないだろうか。

そのマレー人を見て、もしも自分が座っていたら同じ運命になっていたのかと思うと座らなくてほっとした。

ガイドはマレー人が逃げ出したので、そのボックスに座った。そこはガイドの席だったのかと思っていたら、そのガイドはすぐにバスを降りた。結局ただの係員だった。降りる間際、後方から若い女性が来て、その係員は一番前の席を指して「ここだ」と合図をしていた。結局。その女性が一番前の席にあぐらをかいて座った。前席の席取合戦はいったい何だったのだろうか。

9時発のバスは9時18分に出発した。これから5時間の長旅である。

2時間ほど経ったところで休憩があった。この休憩のアナウンスは何と言ったか聞き取れなかったが、「休憩するぞ」といった程度の一言だけである。

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男性用トイレ
何分の休憩か全く分からないのでトイレだけを済ませようと降り立った。そのトイレは入り口から見て左側が女性用となっていたので右側に入ったら何かおかしい。そこも女性用だ。ここのトイレは、建物自体が男性用と女性用に分かれていた。

すぐにバスに戻った。しばらくして部長似は乗客の数を数え始めた。乗客は全員戻ってきたと思うが、部長似はバスを発車させない。まだ戻っていない乗客がいるのだろうか、部長似は外に出て乗客の帰りを待ち始めた。しばらくしても誰も来ないので部長似はバスに乗り、再び乗客の数を数え始めた。

数の数え方は面白い。まず、後方から前方に移動して、後ろの乗客から数え始める。そして、マレーシアでは人差し指で人を指すことはマナーに反するそうで、手招きをするようなそぶりで自分に向かって手のひらを動かして数えていた。

結局、部長似の数え間違いだったのだろう、バスはそのまま発車した。逆の数え間違いがあった場合は、乗客は置いてきぼりにされることは容易に想像できた。

前席に座っていた女性は麓町のタパーでバスを降りたので、僕も前席に座ってみた。座ったところ、座席を倒すとボックス上に斜めに足を置くとなんとか足を伸ばせることが分かった。結構快適である。

キャメロンハイランドまでの道は60キロほど続くカーブの連続だが、上り坂でスピードはそれほど出ていないし、前席なので酔うことはなかった。

部長似の運転は上手かった。ただ、向かいから来る車両が大型車の場合は必ず、手を上げて挨拶をしていた。カーブでもやるので困ったものだ。客には愛想がないくせに。